海賊王子ヒースコート(1)
事の次第を簡潔に報告した彼は、船長の指示を待った。
(やっぱ耳と鼻削ぐんかな~?面倒くせぇな。どうせ、やるのオレだし)
口には出さずに「ハァ」と溜息をついていると、ダリウスがニヤリと極悪な笑みを浮かべた。
「ほう~、人の戦利品を横取りしようとしたと…」
あまりにもドス黒い雰囲気を漂わせる船長に、罰を受ける二人はもちろん、レイバンまでもが縮み上がってしまった。
「本来なら色々切り刻んで無人島に置き去りだが…今回は未遂だったらしいからな。鞭打ち百回で勘弁してやる」
「ひゃ、百回!?」
愕然とする二人。
だが置き去り刑よりは断然マシだ。
渋々、といった感じで俯いた。
「レイバン甲板長!!」
ダリウスが怒鳴った。
「なんすか船長?」
「このバカどもに鞭打ち一人百回ずつくらわしてこい!」
「はい、了解です!」
元気よく返事をしたものの、ちょっと不安があるレイバン。
(百回か…。途中で数え間違えねぇかな…?)
鞭打つ方だって大変なのだ。
まあ、何はともあれ、承諾してしまったのだからやるっきゃない。
レイバンは憐れなくらい怯えている二人を追い立てながら、部屋を出ていった。