海賊王子ヒースコート(1)
レイバンが退出した後の船長室は静寂を取り戻した。
しかし、やれやれと一息ついていたダリウスのもとに、またしても招かざる部下が訪れてきた。
「船長、少しよろしいですか?」
やって来たのは背の高い眼鏡の操舵手。
ランバートだった。
「舵はどうした?」
離れてんじゃねーよと目線で訴える船長に、ランバートは綺麗な微笑みを返した。
「キャンディスに任せました。戻ったらまた交代しますよ」
「……キャンディス、あいつまたお前のとこにいんのか?」
「ええ。泣きつかれてしまいまして」
ムカツクほど素敵な笑顔でそんな発言をするランバートに、ダリウスはこめかみに青筋を浮かべた。
「…手ぇ出したらぶっ殺す」
「はいはい。わかってますよ。というか、いちいち気にするなら彼女の前で他の女性を犯そうとしないで下さいね」