海賊王子ヒースコート(1)
翌朝、アイリーンは息苦しさで目を覚ました。
(く、苦し…!)
なぜかいつもと違うベッドの感触に疑問を感じつつ、枕だろうと思った息苦しさの原因を手で押しのける。
すると…。
「…ん、何?起きたのか?」
「え…?」
枕だと思ったのは、自分に抱き着くようにして眠っていた男子だった。
「きゃああ!!」
「しっ…静かに。おはよう」
黙るよう唇に添えられた人差し指から彼の熱が伝わる。
アイリーンは蕩けるような微笑をたたえた寝起きの青年を、ドキドキしながら見つめることしかできなかった。
「よく寝れた?」
「あ、はい。おかげさまで…」
平凡な会話をしながら気怠そうにベッドから起き上がったヒースコート。
彼は昨夜着替えずに寝てしまったためシワができた高そうなズボンとシャツを脱いだ。