海賊王子ヒースコート(1)
(こんな高級そうな服どこで仕入れてきたんだ?ランバートの奴…)
低血圧なヒースコートは朝に弱い。
ボケッとした頭で考えながら、アイリーンの目を気にせずポイポイ脱いでいく。
彼女が気づかって視線をそらしたことにすら気づかない。
「アイリーン、ちょっと待ってて。キャンディスから着替え借りてくるから」
普段のラフなシャツとズボンに着替え終わったヒースコート。
肩くらいまである綺麗な金髪を後ろで結わきながら、自分の服ではぶかぶかだろうと、アイリーンのために女性ものの服を借りに部屋を出ようとする。
すると、アイリーンの表情が曇った。
(あ…行ってしまう…)
心細い。
(また、昨夜のように襲われたら…)
一人になりたくなかった。