海賊王子ヒースコート(1)
そんな彼女の心を読み取ったのか、ツカツカとヒースコートが近づいてきた。
「?」
戸惑うアイリーンに、彼は小さな折りたたみ式ナイフを手渡した。
「護身用。あげる。ヤバイ相手にはこれ使うか股間を蹴り上げるかして逃げること。いいか?」
「は、はい…」
素直に頷きナイフを受け取ったアイリーンに満足すると、ヒースコートは彼女の額に軽く口づけた。
「あ…」
チュッというリップの音がなんともイヤラシい。
「大丈夫だ。すぐ戻るから」
安心させるように頬を一撫ですると、今度こそヒースコートは部屋から出ていった。