海賊王子ヒースコート(1)
「悪いか?」
「いんや、全く」
アイリーンは可愛いから、好きになる気持ちもわからなくはない。
ただ…。
「でも、なんでそんなご執心なわけ?一目惚れか?それか、知り合いだったとか?」
「……さてな」
目をそらして話題から逃げる優男に、レイバンはブーブー言い出した。
「お~い、ズリーぞ!教えてくれたっていいだろが!」
「あんたら、朝っぱらからうるさい!ちったぁー静かにしなさいよ!」
唐突にキャンディスが部屋から飛び出してきた。
手にはシャツやスカートを数枚抱えている。
「はい!これくらいあれば足りるでしょ?」
「ああ、すまないな」
ヒースコートはそれらを受け取ると、そこにレイバンを放置して自室へ戻った。
それからしばらくしてアイリーンが着替えを済ませると、朝食を取るため彼らは上の階へと移動したのだった。