海賊王子ヒースコート(1)
「フフ、レイバン。船長に聞かれたら殺されるよ?」
エリオットが静かに笑った時だった。
「聞こえてんぞ、こら」
剣の切っ先をレイバンに向けたダリウスがこちらを睨む。
「す、すんません!船長の異名はあれでしたよね!“復讐の死神”!」
慌てて言ったレイバンの答えに、ダリウスは満足したのか剣を収めた。
(復讐の死神?なんだか、悲しい響きですね…)
意味を尋ねようとしたらエリオットがポツリと呟いた。
「よく考えるとさ。この船のメンバーって、あだ名はすごく変だね」
船長、復讐の死神。
甲板長、若獅子のレイバン。
砲術長、海賊王子。
医師、セルーデンの妖精さん。
統一感はまるでない。