海賊王子ヒースコート(1)
「キャンディスは“女王様”だし、ランバートは“完璧腹黒眼鏡”だもんな」
レイバンの相槌に、船内からランバートがひょっこり顔を出した。
「失礼ですね。それはあだ名ではなく悪口に入りますよ?」
他の仲間と舵を交代して甲板に上がってくる。
「だいたい、私に異名はありません」
「お前はあれだ。“仕事人間ランバート”」
ヒースコートがズバリ言った。
「おや、褒め言葉ですか?腹黒海賊王子様」
「ランバート…お前、腹立つな」
ヒースコート達が軽口を叩き合っている間、アイリーンはレイバンに聞いてみた。
「あの…キャンディスが女王様というのは…?」
「ああ、キャンディスは戦闘でムチを使うからな。ムチで女っていったら“女王様”だろ?」