海賊王子ヒースコート(1)
第四話:告白
その晩、ヒースコートは俺様船長との約束を果たすため食堂を訪れた。
アイリーンは先に寝かせたので自室にいる。
傍を離れることに少し躊躇いはあったが、ほとんどの乗組員が食堂に集まっているのでおそらく彼女には何も起こらないだろう。
当初、食堂ではなくダリウスの部屋で密かに対決する予定だった二人。
しかし、周りの仲間達が「せっかくだから一緒に飲みたい!」と主張してきたため、急遽場所は変更となった。
「来ましたよ、船長」
「おう、待ってたぜぇ~」
すでにダリウスは何本か酒ビンを空にしていた。
ほろ酔い状態の船長がロディを呼び付け、さらに酒ビンを持ってくるよう叫ぶ。
「久々だな。お前と飲むのはよ」
「ガツガツ飲むのは趣味じゃないんですが」
「気取ってんじゃねーよ。お前は海賊なんだぜ?なんでも豪快にいけ」
「海賊…ね」
目の前に置かれた酒ビンに口をつけ、遠い目をするヒースコート。
「ん?なんだ~?暗いツラしやがって」
ダリウスも一本確保し、高い度数のそれをグビッと喉へ流し込む。
「もしや、ホームシックか?お坊ちゃま」
「ハッ、お坊ちゃまはレイバンだろ」
「いんや、お前もだろ?お前がどこの誰だか知らねーが、イイとこ育ちってことくれぇはわかる」