海賊王子ヒースコート(1)
ヒースコートは鋭い眼差しでダリウスを見つめた。
「貴様に関係ない」
「んだとテメー」
ダリウスが腰に下げている銃に手をかける。
これに気づいたヒースコートも常に隠し持っている小型ナイフを握った。
「こらこら、ケンカじゃなくて今は飲み比べでしょ?」
一触即発だった二人の間に割って入ったのは、セルーデンの妖精さんことエリオット。
「落ち着けってヒースコート。いくら酔っ払ってても船長とやりあっちゃマズイだろ」
近くにいたレイバンも見兼ねてヒースコートの隣に座る。
「そうそう!どうせ飲むなら楽しく!キャンディス、一気いきます!」
宣言してからグビグビと酒をあおる女海賊に男性陣が口笛を吹く。
「おい!一気に飲むなよ!買ったばっかなんだぞ。空きビン増やすな!」
料理長のロディのみが文句を言う中、節約という言葉と縁遠い海賊達の宴は続く。
「キャンディス、倒れたら僕が介抱してあげるよ。僕の部屋へおいで」
「いや~!アタシはダリウスに介抱された~い!」
エリオットの誘いをアッサリ蹴って、酔いが回った彼女はガバリと船長に抱き着いた。