海賊王子ヒースコート(1)
「エリオット、俺も一緒に行く」
エリオットとは言えアイリーンが野郎と二人きりは心配なのだろう。
ヒースコートは椅子から立ち上がった。
「おいテメー、勝負の途中だろーが。逃げんのか?」
待ちやがれと、こちらを睨みつけるダリウス。
そんな俺様船長を睨み返すと、ヒースコートは自分が投げたナイフを壁から引き抜いた。
そして、ダリウスが的を狙った地点よりもさらに遠いその距離からクオーツ島目掛けてナイフを投げる。
ドスッ――
刺さったのはクオーツ島のド真ん中。
「これで文句ありませんか」
「チッ、砲術長様をナメてたぜ」
飛び道具の扱いは得意。
ダリウスの十八番はレイバンと同様、剣術だ。
最初から分が悪かったと言える。
「では、船長が甲板掃除一週間ですね」
「あ゙あ~!!チクショー!やったろうじゃねぇか!!」
船長の宣言に仲間がドッと笑う中、ヒースコートはアイリーンを連れてエリオットの部屋へ向かった。