海賊王子ヒースコート(1)
「気分が悪い原因は、たぶん船酔いだよ」
部屋に入るなりエリオットは薬棚へ直行した。
「後はストレス。慣れない船での生活で、精神的にまいってきてるんじゃない?」
コクリと頷くアイリーン。
まだ乗って一日程度だが、慣れないゆえに疲れは溜まる。
「はい、これが船酔いに効く薬。こっちは睡眠薬。一応渡しておくけど結構強いから、どうしてもって時以外あまり服用しない方がいいよ」
「ありがとうございます」
「戻るぞ。部屋まで送る」
もうここに用はないと、アイリーンを廊下に連れ出そうとしたヒースコートだったが、エリオットに呼び止められた。
「あっ、待って。後これ。間違いが起きないうちに渡しとくよ」
アイリーンの手に別の薬を握らせる。
「この薬は…?」