海賊王子ヒースコート(1)
「ピル」
聞いた瞬間、ヒースコートは開けようとしていたドアのノブを握り潰しそうになった。
「エ、エリオット貴様!アイリーンになんてものを!」
「え~、こういうことは大事でしょ?」
「大事かも知れないが、アイリーンには必要ない!」
そう言ってヒースコートはアイリーンが持っていた避妊薬をエリオットに突き返した。
「間違いなんて、俺が起こさせない」
真剣な眼差しを医者に向ける。
エリオットはやれやれといった表情で薬を受け取った。
「仕方ない。君を信じるよ」
その時。
「あの…ピルとは何でしょうか?」
「………」
「………」
お嬢様の無知に脱力する海賊王子と、丸い目をしばたたかせる妖精さんだった。