海賊王子ヒースコート(1)


 さて、晩の食事時のこと。

食堂にてヒースコートはあることに気づいた。


(……見てる。めっちゃ見てる)


隣に座るアイリーンの視線が船長ダリウスに釘付けだ。


(どうしたんだ?昼間、何かあったのか?)


気になったヒースコートは、右隣に座って肉を頬張っているレイバンから情報を引き出すことにした。

「レイバン」

「ん?なんだ?」

「アイリーンが船長をガン見してるんだが…理由に心当たりないか?」

「はあ?」

レイバンもアイリーンを見る。


「んー…オレにはわかんねー」

「本当に?昼間に甲板で何かあったんじゃないだろうな」

「ヒースコートが気にするようなハプニングは特になかったと思うけど」

「そう、か…」

額にシワを寄せて溜息を吐く砲術長。

そんな彼をからかうようにレイバンがニヤリと笑った。

「あれじゃね」

「ん?」

「船長に惚れたとか」

「なっ!?なんでそうなる!?」

「んー、だってさ。女って、悪ぶってる男に惹かれるっていうし」

「そんなこと言ったら、この船に乗ってる男全員がそうだろう」

「確かに」


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