海賊王子ヒースコート(1)


 二人が眠りについたのはいつ頃だっただろうか。

とにかく翌朝、アイリーンはヒースコートの美しき寝顔ドアップを目覚め一番に見ることとなった。


(ち、近いですっ!!)


激しいキスの後、密着して寝たのが今の状況を引き起こした原因だろう。

「ヒースさん…起きてます?」

「ん~……」

目を閉じて唸るヒースコート。

彼の意識はまだ夢の中らしい。


(綺麗な寝顔…。お伽話に出てくる王子様みたい…)


眠っているのを良いことにじっくり観察していると、突然船が大きく揺れた。

「きゃ!?」

何かに衝突したのか、船に振動が伝わる。

「ん…なんだ?今の揺れは…」

やっと起きたようだ。

ヒースコートがボンヤリとした無防備な表情をアイリーンに向ける。

するとその瞬間、ドアが勢いよく開き、ロディが切迫した表情で飛び込んできた。


「起きろ~ヒースコート!!敵襲だっ……て、うわぁあ!!お、お邪魔しましたっ!!」


ベッドの中でガッチリとアイリーンを抱きしめているヒースコートにビックリ仰天。

クレマン海賊団の中で「ピュア童貞男子」と噂されるロディは、顔を真っ赤にさせ慌てて部屋から出て行った。


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