海賊王子ヒースコート(1)
「あ…?ロディの奴…何しに来たんだ?」
「敵襲、とおっしゃっていましたが…」
アイリーンが不安そうにヒースコートを見上げる。
「敵襲…。こんな朝っぱらから、どこのバカだ」
ヒースコートはやれやれと頭をかきつつ起き上がった。
愛用している拳銃に弾丸が入っているか確認していると、アイリーンの呟きが耳に入る。
「敵襲だなんて…。まさか海軍でしょうか…」
「いや、おそらく違うな。海軍なら海軍と言うはずだ。大方、命知らずの海賊(バカ)どもだろう」
「そう、ですか…」
眉間にシワを寄せるアイリーン。
そんな彼女の頬に安心させるよう口づけを送ると、彼は拳銃を片手にドアへ向かった。
「様子を見てくる。アイリーンはここにいて。俺が戻るまで部屋から出るなよ」
「はい。お気をつけて…」
こうして、寝起きで不機嫌MAXの砲術長が戦闘に駆り出された。