海賊王子ヒースコート(1)
この時、敵の顔色が変わった。
皆、蒼白になったかと思うと誰もがガクガクと身体を震わせ始めた。
「ま、まさか…オメー…あの、復讐の死神、ダリウス!?」
「ああ、そうだ。俺様の船を襲ったテメーらに復讐する死神よぉ」
敵の船長が愕然とする中、彼の部下達も驚き狼狽していた。
「ク、クレマン海賊団だって!?」
「敵うわけねぇ!!殺される!!」
「おいおい、敵に背中見せるなんて男じゃねーぜ?」
「ひぃいい!!」
自分の船へ逃げようとした敵にレイバンが立ち塞がる。
「あんた、若獅子のレイバンだろ!!聞いたことあるぞ!頬に傷のある金髪の男!」
「おおー。オレって有名人」
嬉しそうにする甲板長に、ヒースコートが溜息をつきつつロープを投げた。
「バカなこと言ってないで、奴らを縛れ」
「お、ヒースコート。いたのか」
「ああ。ロディに起こされた」