海賊王子ヒースコート(1)

この時、敵の顔色が変わった。

皆、蒼白になったかと思うと誰もがガクガクと身体を震わせ始めた。

「ま、まさか…オメー…あの、復讐の死神、ダリウス!?」

「ああ、そうだ。俺様の船を襲ったテメーらに復讐する死神よぉ」

敵の船長が愕然とする中、彼の部下達も驚き狼狽していた。


「ク、クレマン海賊団だって!?」

「敵うわけねぇ!!殺される!!」

「おいおい、敵に背中見せるなんて男じゃねーぜ?」

「ひぃいい!!」

自分の船へ逃げようとした敵にレイバンが立ち塞がる。

「あんた、若獅子のレイバンだろ!!聞いたことあるぞ!頬に傷のある金髪の男!」

「おおー。オレって有名人」

嬉しそうにする甲板長に、ヒースコートが溜息をつきつつロープを投げた。

「バカなこと言ってないで、奴らを縛れ」

「お、ヒースコート。いたのか」

「ああ。ロディに起こされた」


< 180 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop