海賊王子ヒースコート(1)
突然やって来た荒くれ猛者どもを呆気なく縛り上げたクレマン海賊団。
敵海賊を一人残らず甲板に座らせると、ヒースコートのえげつない尋問が始まった。
「貴様、名は?」
「……キャプテン・マイク」
先程ダリウスと剣を交えた大柄な男が答える。
どうやら彼が船長らしい。
「マイク…。セルディスタ人か」
「ああ」
「なぜこの船を襲った?海軍に命令されたか?」
「いんや。オレはもと海兵だがとっくの昔に海軍はやめちまった。今は繋がりなんざ全くねー」
「怪しいな。証明できるのか?」
ヒースコートが拳銃をマイクの額に突き付ける。
「海軍の犬になるくれぇなら舌を噛むぜ。海賊やってる奴は誰だってそうだろ?」
冷や汗をかきつつ正直に答えるも、海賊王子は凍るような眼差しで見下ろしてきた。
「言葉なんて信用できない。耳を出せ」
静かな動作で銃口を敵船長の耳にあてがうヒースコート。
「素直に片耳を差し出したら信じてやる。貴様と仲間の命も保証しよう」