海賊王子ヒースコート(1)
吠えるレイバンの後ろからエリオットがやって来た。
腕にはグッタリした三、四歳くらいの男の子を抱えている。
「この子は大丈夫だけど、かなり衰弱してる。他にもまだ生きてる子供達がいるから運ぶの手伝って」
船医のエリオットに言われ、手の空いている乗組員は子供達救出作業へ向かった。
甲板に残っているのはダリウスとレイバンとヒースコートのみ。
彼ら三人は必死に言い訳しようと口を動かす捕虜達にそれぞれの武器を向けた。
「おい、ガキをどっから掠ってきた?」
低い声で脅すように聞いたせいか、震え上がってダリウスの問いになかなか答えないマイク。
痺れを切らしたレイバンが、近くにいた捕虜の喉を剣で切った。
「あ…ひっ…!」
首から血を吹き出して倒れる仲間を見せられ、キャプテン・マイクが保身のために喋り出す。
「い、いろいろだ…!ジック島とか…セ、セルーデンからも!」