海賊王子ヒースコート(1)
ヒースコートがアイリーンを呼びに戻ったのは捕虜の死体を綺麗に処理した後だった。
彼はアイリーンを食堂へ案内すると、彼女と子供達を対面させ事情を説明した。
「まあ!人身売買!?」
「海賊にはそういうのを専門に闇商売してる奴らもいるんだ」
「そんな……酷い話ですね。こんな小さな子達を…」
生きている子供は全員で九人。
すでに死亡していた数は七人。
男女それぞれ、年齢もまちまちだが、だいたい三歳から十歳くらいのようだ。
生きている子供は皆、縄を解かれ、この食堂で食事を提供されている。
衰弱が激しく、食べる元気もない子供は船医のエリオットがつきっきりで看病に当たっていた。
「でもさ、この子達どうすんの?このままオグランドに連れてくの?」
食事をする子供達におかわりのスープを運んできたキャンディスがヒースコートに尋ねる。
「ひとまず一緒にオグランドへ行くことになるだろう。それからは……個人の問題だな」