海賊王子ヒースコート(1)

オグランドに残るもよし。

セルディスタに帰るもよし。

「だが、狙われた子供はほとんどが孤児だ。あまりに幼い子供はオグランドの孤児院に預けた方が安心だな」

「でもさ、過去にあったんでしょ?海賊と通じて裏で人身売買やってた孤児院」

一昔前に話題になったそれは、ジック島にある「ウィーキード孤児院」。

どうやら、そこの院長が海賊に孤児院の子供達を売っていたようだ。

海賊によって運ばれた子供達は世界各地の様々な所へ売られることとなる。

「どこの孤児院かにもよるが……俺様の知ってるあそこなら安心だぜ?」

タイミングよく階段を下りてダリウスが登場した。

「けどやっぱ、こいつらの意思が大事だよな。おい、お前ら。家に帰りてーか?」

すると、一番年上の男の子が暗い表情で答えた。


「家なんてないよ。帰るとこなんて…ない」

「お前、どこの出だ?」

「セルーデン島。ミストフィーズって町」


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