海賊王子ヒースコート(1)
さて、その日の午後のこと。
「チッ、しけてんな」
自室で金勘定を行う船長ダリウス。
それらの金はキャプテン・マイクの海賊船から奪ったものだ。
「ガキ売る前だったからか?こんなんじゃ酒一日分にしかなんねーぞ」
などとブツブツ呟いていると、部屋のドアが勢いよく開いた。
「船長ー!!どうにかして下さいよ!!」
「甲板長が!甲板長がぁ!!」
泣きつくようにして入ってきた下っ端部下達。
ダリウスは片眉を上げた。
「甲板長がどうした?」
「か、甲板長が……子供と遊んでて仕事しません!!!!」
「はあ?」
船長からビシッと言ってやってくれと訴える部下達にやれやれと溜息をつきつつ、ダリウスは子供達と遊んでいるレイバンをどうにかするため甲板に向かった。