海賊王子ヒースコート(1)
「全く…。レイバンも好きだな。ある意味尊敬する」
甲板の隅で彼らのやり取りを傍観していたヒースコートが感想を述べる。
そんな海賊王子の隣ではアイリーンが、ガルニカ出身の少女と手遊びをして遊んでいた。
近くにいるヒースコートを無視してキャッキャウフフと仲良さそうな二人。
ヒースコートは大人気なくムッとした。
「………楽しそうだな」
少々刺のある低音で指摘してやれば、アイリーンは申し訳なさそうな表情で彼を見上げた。
「あ、私ばかり楽しんですみません。ヒースさんも一緒に遊びましょう」
「い、いや…そういうわけじゃ……というか俺は子供が苦手なんだ。遠慮する」
「苦手、なのですか?」
「ああ。奴らの思考回路が理解できないんだ」
フウと溜息を吐き出して頭を押さえるヒースコート。
すると、可愛らしい声が抗議した。