海賊王子ヒースコート(1)
ローズマリーはニコニコしながら続けた。
「お姉ちゃんのことパーティーの時に見たわ。とってもキレイだった!」
「それって、私とギルバート様の婚約パーティーのこと…ですよね…?」
「うん」
ギルバートの親族が招待されていたことは知っていたが、紹介はまだだった。
そういう挨拶回りは贈り物交換の後に予定されていたが、いきなり登場したならず者達のせいでおじゃんになったのだ。
「あの場にいたなら、いつ海賊に捕まったんだ?」
「帰るときよ。ガルニカに戻るとちゅうママとはぐれちゃったの」
しゅんとする彼女の頭をアイリーンが優しく撫でる。
するとローズマリーは俯いていた顔をバッと上げた。
「ねえねえ、お姉ちゃんはギルおじちゃまとケッコンするんでしょう?」
「え…?あ……その…」
ヒースコートの手前「そうです」と素直に頷けない。
アイリーン本人も、ヒースコートが好きと自覚した今、婚約の件は白紙に戻してもらうよう家族と話をしなければと思い始めていた。