海賊王子ヒースコート(1)
「アイリーン、俺が好きか?」
「え…?」
いきなり何を言い出すのか。
アイリーンは戸惑った。
「君が好きなのは、俺だよな?」
否定は許さない――そう語る彼の瞳。
「は…はい…」
気圧されたアイリーンはビクビクしながら頷いた。
「ん。なら問題ない」
それだけ言うとヒースコートはアイリーンに背を向け、階段を下りて行ってしまった。
「ヒースさん…」
揺れる瞳で彼を見送るアイリーンの耳に、ダリウスの独り言が届いた。
「あのエラソーな上から目線。本っ当に似てんな」
近くまで寄ってきたダリウスに問い掛ける。
「どなたにですか?」
「アーロンって奴。俺様の親父、タイタスの右腕だった」
「では…その方も、亡くなられて…?」