海賊王子ヒースコート(1)
「教会、見えてきませんね」
「ここからまだ距離があるからな」
ダリウスを先頭にキャンディス、レイバンと続く。
真ん中に子供達を挟んでアイリーンとヒースコートが後ろを歩く。
他の乗組員、エリオットやロディは買い出しへ、ランバートは船の見張り役を任されているためここにはいない。
「よう!ダリウス!半年ぶりかい?元気にやってるか?」
「今回も店に寄ってっておくれよ!お前さん方が来ると繁盛するんでね」
ダリウスが歩く度、周囲から好意的な声がかかる。
町の人々はダリウスが海賊と知っていて歓迎しているのだろうか。
アイリーンは不思議に思った。
「ヒースさん、ダリウスさんは町の人達と親しいのですか?」
「ああ。ベルナンクは船長の故郷みたいなものだからな」