海賊王子ヒースコート(1)
「故郷、ですか」
それならば納得がいく、とアイリーンが頷く。
「しかも、この町は俺達クレマン海賊団にとって深い縁がある」
「深い縁…?」
「教会へ行けばわかるさ」
それきりヒースコートは黙ってしまった。
そして一行はメインストリートから外れ、一本の細い道に入った。
そこからは、なだらかな上り坂。
周りは静かな住宅街でメインストリートよりも通行人が少ない。
坂道を上り続けて数分経った頃、教会とおぼしき尖んがった赤い屋根が見えてきた。
「着いたぜ」
ダリウスが教会の門を開けて全員を中へ案内する。
その慣れた様子は、まるで客を自分の家に招き入れる主人のようだ。
アイリーン達はダリウスに導かれ教会の礼拝堂へお邪魔した。