海賊王子ヒースコート(1)


 色彩豊かな美しいステンドグラスから明るい陽射しが差し込む。

礼拝堂はひっそりとしており、人の姿はなかった。


「おーい!ミロ神父!いるんだろ~!」


厳かな静寂を破るダリウスの大声が響く。

何度目かの呼び掛けで、奥の小さな扉から一人の男性が現れた。

「おや、ダリウス。お帰りなさい」

「いらっしゃい」ではなく「お帰り」と言ったこの人物こそダリウスが信頼する孤児院の院長、ミロ神父だ。

人好きのする笑顔とプラチナブロンドが印象的な彼は非常に若く見えるが、もう四十代にさしかかる。

「ん?今回はまた…たくさん連れてきたね」

彼はそわそわしている子供達を見て目を見開いた。

「何人か預かってくんねーか?」

ダリウスが頼むとミロ神父は笑顔で頷いた。


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