海賊王子ヒースコート(1)

「おい、お前ら。残りたい奴はここに残れ。ミロ神父が面倒見てくれっから」

子供達に向かって威圧的に言うダリウス。

そんな船長が怖いのか、子供達の半分はレイバンの後ろに隠れた。

「ダリウス、おっかない顔をして子供に接するものじゃないよ」

ミロ神父は屈むと、子供達と目線を同じにして穏やかに話し掛けた。

「初めまして。私はミロ神父というんだ。お父さんやお母さんがいない子達と一緒にここで暮らしているんだよ」

優しく語りかける神父に子供達は警戒心を解いたようだ。

レイバンの後ろから、とことこと前へ出てくる。


「後はミロ神父に任せっから」

自分の役目は終わったとばかりにダリウスは子供達に背を向けた。

そのまま礼拝堂の脇にある扉から中庭へ出ていく。

「アイリーン、俺達も行こう」

「え?ヒースさん?」

アイリーンの手を引き、ヒースコートもダリウスの後に続いて中庭へ。



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