海賊王子ヒースコート(1)
疑問に思うアイリーンにダリウスが言った。
「クレマン海賊団の由来はこいつだ」
「この方も海賊だったのですか?」
「ちげぇ。こいつは親父のダチだった」
ダリウスの父、タイタスの友人。
「親父を庇って処刑された……バカみたいに優しいガキだよ」
「処刑…!?」
驚くアイリーンの横でダリウスは墓に手を合わせた。
「昔、親父がまだ海賊になる前…この町で人を殺しちまったんだと。そん時、犯人の親父を庇って処刑されちまったんだよ。クレマンは」
よく見ると、クレマン・フォールと刻まれた下に享年が記されている。
アイリーンはそれを見てクレマンが十五歳の少年だったことを知った。
「親父はクレマンの死を忘れないために、自分の作った海賊団の名前にしたらしい」