海賊王子ヒースコート(1)
孤児院の子供達が飢え死にしないですむのはダリウスの寄付のおかげとも言える。
「また増えちまうからな。今回はちょっと多めだぜ」
「そんな気をつかわなくてもいいよ。私だって働いて稼いでるから、そこそこ収入はあるし」
「んなこと言って、ガキのおもりに仕事でぶっ倒れても知らねーからな」
ダリウスなりに心配なのだろう。
昔と変わらず素直に「心配だ」と言わない彼にミロ神父は苦笑した。
「ありがとう、ダリウス」
「ケッ」
これも彼なりの「どう致しまして」だ。
わかっているのでミロ神父は何も言わず、置いていかれた袋を受け取った。