海賊王子ヒースコート(1)
さて、用事も済んで教会から出て来た一行。
もうすぐ午後の二時だというのにまだ昼飯を食べていないことに気づいた。
「んじゃ、いつもの酒場にでも行くか」
大きく伸びをして坂道を下りていくダリウス。
「もちろん船長のおごりですよね?」
「んなわけあるか。お前が払え、レイバン」
「はぁ~!?オレ、今持ち合わせメッチャ少ないんですけど!?」
そんなたわいない会話をしながらメインストリートまで戻ると、船長は行きつけの酒場「黒ヒゲ」の扉を開けた。
この酒場は店名の通り、黒ヒゲが豊かな愛想のよい中年のマスターが切り盛りしている。
このベルナンクではそこそこ名の知れた店だ。
「よう、マスター!」
決まり文句を発して店に入ったダリウスだったが…。