海賊王子ヒースコート(1)
ヒースコートが慌てて一歩下がると、アイリーンはしょんぼりと顔を俯けた。
「あ、あの…すみません。やはり無理なお願いですよね…」
「へ?」
アイリーンの可愛さゆえに会話の要点を今の今まで忘れていたヒースコート。
一度セルディスタに帰りたいと訴えられていたことを思い出し、焦って口を開いた。
「あ、いや!無理じゃない!望みはある!」
「本当ですか…?」
「ああ。子供達を帰さなきゃならないから、おそらく近いうちにセルディスタへ向かうだろう」
「あ、そうですよね。ローズマリーちゃん達を送ってあげるのですよね」
明るい表情を取り戻したアイリーンに癒され、ヒースコートも笑みを浮かべる。
「二、三日とか言ってるが、いつここを発つかは船長の気分次第だ。明日、俺が急かしておこう」