海賊王子ヒースコート(1)
「あんまり目立ちたくないですからね~。もし僕らが軍人だってバレたら取っ捕まりますよ~」
リチャードが言うように、オグランドは軍人に厳しい国だ。
軍職だと知られれば、たちまち捕まえられて牢にぶち込まれるだろう。
それを重々承知しているため、今彼らは海軍専用の白い軍服ではなく地味な黒のロングコートを身にまとっている。
「わかってるわよ。だから少数で来たんでしょ」
ヴィンセントはムスッとした表情で部下二人に向き直った。
「じゃあ、とっとと捜索を始めてちょうだい。目標はアイリーン・ミルフォードの奪還とクレマン海賊団の捕縛!いいわね!」
「はっ!」
上司に敬礼すると寡黙なギルバートはリチャードに視線で命令した。
「はいはい、わかってますよ~」