海賊王子ヒースコート(1)


 ギルバートが甲板にいた頃、アイリーンは再び部屋を訪れた兄に懇願していた。

「お願いします、お兄様!」

「ん~…」

あまり良い表情をしないヴィンセントに何度も頭を下げる。

「ヒースさんに会わせて下さい!この船にいらっしゃるのでしょう?」

「けど、檻の中よ?出せって言われても、出してあげられないし…」

「それでも…会いたいのです。お願いします…お兄様」

ここまで必死にお願いされ、渋っていたヴィンセントはとうとう折れた。


「わかったわ。許可しましょう」

「お兄様…!!」

「け、ど!私も一緒よ。監視役として同行するから」

「はい!ありがとうございます!」


こうしてアイリーンとヒースコート達の面会が許された。



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