海賊王子ヒースコート(1)


 船底の薄暗い空間。

普段ならそこは食糧やその他諸々の荷物置き場とされるが、今は罪人を捕らえておく牢獄と化していた。

ミシミシ鳴る階段をヴィンセントに助けられながらゆっくりと下り、アイリーンは二つの檻を見た。

「ヒースさん!ダリウスさん!」

檻の中でグッタリしている二人。

駆け寄ると、まずヒースコートが反応した。

「アイ、リーン…?」

「ヒースさん!大丈夫ですか!?」

鉄格子に寄り掛かる体勢のヒースコートに合わせてしゃがみ込む。

「君こそ…無事か…?怪我は…?」

「私は無傷です!それより、ヒースさんの方が…!」

アイリーンはヒースコートの赤黒く染まった脇腹を見つめた。

「ダリウスさんも…!」

すぐ隣の檻で同じく鉄格子に寄り掛かっているダリウスの傷も確認する。

二人とも手当てはされているようだが、辛そうだ。


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