海賊王子ヒースコート(1)
聞き覚えのある声が響いた。
声の主を見れば…。
「レイバンさん…!?」
頬に傷のある金髪青年、レイバンが立っていた。
「なっ、なんだ。連れがいたのか…」
睨みつけてくるレイバンから距離を取り、海軍の男性はすごすごと退散してしまった。
「へっ!勝った!」
ニカッと笑ってガッツポーズ。
そんなレイバンの手をアイリーンはギュッと握った。
「レイバンさん!良かった!皆さんはどちらにいらっしゃいますか!?ヒースさんから皆さんと合流するように言われて…」
「ス、ストップ!まず手ぇ放して!いくらヒースコートいないからって、なんかヤバイ気がするぜ!こういうのはっ」
「あっ、すみません。勢いで、つい」
言われて手を放したアイリーンは、うっかり失念していた感謝の言葉を口にした。
「それに、先程はありがとうございました。助かりました」
「いや~、なんか悪かったな。オレの女とか言っちゃって」