海賊王子ヒースコート(1)
ランバートは眼鏡をクイと押し上げた。
「より多くの嘆願の声を集めて二人の極刑を回避すること。我々もそれを目標に動き始めました」
真剣な眼差しでアイリーンを見つめる。
「貴女にもご協力願います」
「はい!何でも致します!」
良い返事にランバートは小さく笑んだ。
「では早速、貴女にも動いて頂きましょうか」
彼は話しながらアイリーンとレイバンを会議室に招き入れた。
そこにはヒースコートの弟、ファビウスの姿はあったが他の主要なメンバーは見当たらない。
キャンディスやエリオットはどうしたのだろうと、アイリーンがキョロキョロしていると、ランバートが卓上の世界地図を指して説明し出した。
「我々は今、セルディスタの各地に飛んでクレマン海賊団と交流の深い人々との接触を試みています」