海賊王子ヒースコート(1)
「嘆願書をいただきに、ですか?」
「その通りです。ここガルニカでは嘆願の声は集まりませんからね」
海軍のお膝元なだけあってガルニカでは住人の大半が海軍派だ。
海賊を庇おうとする人間はほとんどいないだろう。
「キャンディスはイグナス島。エリオットがセルーデン島のミストフィーズ。ロディが本土にあるリーダという町に向かっています」
皆がバラバラに行動している。
「私はこれからこの船でジック島へ向かいます。貴女には首都トゥドゥールへ向かって頂きたいのです。レイバン、ファビウスと共に」
「首都へ…?」
「はい。首都に行ったらどうすべきかは二人が知っていますから、ご安心を。貴女にはトラブルメーカーな彼らの補佐をして頂きたいのですよ」