海賊王子ヒースコート(1)

ヒースコートも身なりを整え、髪を結び直した。

長い金髪を後ろで一本に結び、左肩から前に垂らす。


「よし…と。レイバン、これを使用人に見せろ」


ヒースコートがポケットから一枚の手紙を取り出した。

「これが、偽招待状か?」

「馬鹿!デカイ声でしゃべんな」

「すまん。じゃ、上品に優雅に行きますか」


皮肉げに言ったレイバンの言葉通り、二人は「上品に優雅に」屋敷の門をくぐり、庭を歩き、玄関口までたどり着いた。


そんな彼らの姿は滑稽どころか、文句なく素晴らしかった。


洗練された黒を着こなすレイバンは、普段の荒っぽい雰囲気から一変、貴族的なオーラを全身から醸し出している。


一方、白いタキシードをまとったヒースコートは、お伽話の絵本から抜け出た王子様のようで女性客の目をひいていた。


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