海賊王子ヒースコート(1)
「はい!」
傍聴席から可愛らしい声が響いた。
「アタシもタンガンするわ!」
皆が一斉に声の主の方を見る。
傍聴席から手を挙げて立ち上がったのはギルバートの姪っ子、ローズマリーだった。
(ローズマリーちゃん!)
来ていたとは知らず驚いていると、彼女はトコトコと嘆願者席までやって来た。
「ローズマリー・メイシーよ。アタシはカイゾクのお兄ちゃんに助けてもらったの。お家に帰れたのはお兄ちゃんたちのおかげ!」
人身売買をしていた海賊をやっつけ、子供達を保護したのはダリウス達だ。
彼女が今セルディスタの大地を踏めるのは、ひとえにクレマン海賊団のおかげと言える。
「そうですよ。私達だってちゃんと人助けをしているんです」
待ち人来たれり。
法廷の出入口から、ランバートの声がした。