海賊王子ヒースコート(1)
四百を超える嘆願。
まだ合計して五十六しか集まっていないこの状況で、ヴィンセントが提示した数字はあまりにも厳しいものだった。
「キャンディス達がまだですね。こうなったら、彼らに賭けるしかありません」
ランバートの言葉にアイリーンはギュッと両手を握り合わせた。
(キャンディスさん、エリオットさん、ロディさん…!急いで下さい…!!)
裁判官がいつまでも待っててくれるわけがない。
急がなければ裁判自体が終了してしまう。
祈るように目を閉じるアイリーン。
すると文字通り、バーンッという派手な音を立てて勢いよく法廷の扉が開かれた。
「船長ぉ!!ヒースコート!!」
叫びながら現れたのはロディだった。
彼一人かと思いきや、ロディの後に続きぞろぞろと多くの人が入ってくる。