海賊王子ヒースコート(1)
「来れなかった奴らの分は文書にして持ってきたぞ」
ロディの父フランクが嘆願書の詰まった袋をハワードに渡した。
「ええっと、どれどれ」
リチャードも手伝って中を確認すると、そこには六十一の嘆願書が。
「百五十二…」
ギルバートが今までの合計を計算して呟いた。
かなり集まったが、まだ半分にも満たない。
再び冷や汗をかく嘆願者組。
刻一刻と過ぎていく時間。
「もう締め切って良いかしら?あんまり待つのも良くないわ」
本来なら裁判官は待つことすらしない。
嘆願者が少ないうちに決着をつけてやろうと躍起になるのが普通だ。
それに比べたらヴィンセントは待った方である。
しかし、ここで締め切られたらヒースコート達の未来は…。
(あんまりです!!処刑だなんて…!!)
アイリーンが立ち上がり、兄に「もう少し待ってほしい」と願い出ようとした瞬間だった。
「待ったぁあああ!!!!!!!!」
ついにクレマン海賊団が揃った。