海賊王子ヒースコート(1)
「ご兄弟でいらして下さるなんて、光栄でございます!さあさ、どうぞどうぞ!」
ペコペコしながら会場の奥へと誘(イザナ)う使用人に、ヒースコートは満面の笑顔を見せた。
「うん、ありがとう。さ、行きましょう。兄上」
「は!?あ、あにう…!?ちょっ…」
ヒースコートの演技についていけない。
レイバンは会場の端っこに相方を引っ張っていき、事情を聞き出した。
「ヒースコート、テメーあの招待状になんて書きやがった!?」
「ああ、この国の王子の名を書いておいた」
「馬鹿かテメーは!?そんな大物の名前使ってバレたら…」
「別にどうってことないだろ?王族はあまり顔を世間に出さないから、名前を借りるのに便利なんだ」