海賊王子ヒースコート(1)

「ハァ、ハァ…間に合ったのかな?僕達」

「間に合ってなくても割り込むわよ!エリオット!」

先頭を駆けて来たのはキャンディスとエリオット。

二人の後方には小さなダンボール箱をいくつも抱えた下っ端船員達の姿が。

「嘆願するわよ!アタシはキャンディス・フォンテーン!ダリウスを返しなさい!あとヒースコートも」

「取って付けた様に言うな!」

あまりの扱われ方にヒースコートが怒鳴る。

「僕もいいかな?エリオット・ダンカンです。大事な仲間を解放して下さい。あ、お土産持って来たんで、どうぞ」

そう言って彼は仲間が抱えていたダンボール箱を示した。

「セルーデン島のミストフィーズの人達からだよ。全部でたぶん七十くらいあると思うな」

箱の中身はもちろん嘆願書だった。


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