海賊王子ヒースコート(1)
こうなると確認作業が大変だ。
リチャードとハワード、他に手の空いている軍人達が大急ぎで嘆願書の文面を確認し、数を数えていく。
「こっちにもあるからね!イグナス島からの分よ」
キャンディスは自分が集めてきた嘆願書の山を差し出した。
そして、ちゃんと数えた結果、イグナス島からは五十九、ミストフィーズからは七十八の嘆願があったことがわかった。
「まあ、よくここまで集めたものね。ある意味感心するわ」
呆れ返った表情で、イグナス島に住む十歳の子供からの嘆願書に目を通すヴィンセント。
「けど、まだ足りないわね」
イグナス島とミストフィーズの分、それからキャンディス達の人数を先程の合計と合わせても、やっと二百九十七。
半分は超えたが、目標の四百にはまだ遠い。