海賊王子ヒースコート(1)
「ジャ~マラ!」
嬉しそうに鳴くと、ジャッキーは紙袋とは別に足にくくりつけてあった手紙をランバートに見せた。
「おや、手紙ですか」
手紙を受け取り黙読してからニヤリと笑う。
「……ミロ神父からです。ベルナンクの住民、他の町からも多くの嘆願書を集めました、とのこと」
「ベルナンク!?この紙袋に入ってる嘆願書はオグランドからってこと!?」
驚くヴィンセントに対しランバートは脅すように微笑んだ。
「オグランド人の嘆願では数に入れられませんか?」
「ぐっ……」
外国からの嘆願は異例だった。
どう返答すべきか戸惑う裁判官。
「ナイス!ジャッキー!」
「これで勝てるかもしれないぜ?」
「かなり量ありそうだから、いけるんじゃねぇか?」
ガヤガヤと外野が騒がしい。
ヴィンセントが迷っている間に結果は知らされた。
「提督!二百十一あります!」
悲鳴に近いハワードの声が響いた。