海賊王子ヒースコート(1)
「何言ってるのよ。誰が無罪放免にするなんて言ったかしら?」
「はぁああ!?」
「四百を超えたら“死刑は”免れるって言ったのよ。誰も無罪放免にするなんて約束してないわ」
平然と言ってのけるヴィンセントに嘆願者席の人々は声を荒げた。
「きったねぇぞ!!」
「解放しやがれ!!」
「じゃあ船長達はどうなるんだよ!?」
「ほんっと、いちいち騒がしいわね!静粛に!!」
うるさい抗議の声を怒鳴って静める裁判官。
法廷内が落ち着いてから彼はギルバートに質問した。
「追及者に聞くわ。ギルバート。この場合、貴方はどんな処置が適当だと思う?」
「………処刑はせずに、拘束しておくのが妥当かと」
「拘束!?」
クレマン海賊団のメンバーが目を見開く。
死は回避できたが自由は奪われてしまうのか。