海賊王子ヒースコート(1)
たいていのことには動じないレイバンだが、さすがに王族と聞いては冷や汗が出る。
だが、ヒースコートは平然として言ってのけた。
「それに、実際このセルディスタ王国には王子が二人いる。兄と弟。今の俺達にはピッタリの変装相手だろ?」
「マジか…今のオレは王子様か…」
恐れ多くて魂が口から出そうになる。
「大丈夫か、レイバン。戻ってこい。計画を失念するな」
「あ、ああ。わかってる」
二人は警戒して辺りを見回した。
すでに大広間には、かなりの招待客で賑わっている。
「うお~、海軍の軍服がそこかしこに!」
「上司の祝い事だからな。下っ端がわんさかいやがる」