海賊王子ヒースコート(1)
まさか自分の船に宿敵を乗せる日がくるとは。
ダリウスが本気で言葉を失っていると、今まで黙って成り行きを見守っていたリチャード少佐がいきなり手を挙げた。
「はいはい!ギルが行くなら僕もお供しま~す!だって部下だもん!」
「うーん……まあ、いいわよ。別に。ギルバート一人じゃ心配だしね」
了承してくれた上司にお礼を言い、キャンディスに向かってウインクを送る。
「げっ!あのナンパ軍人も一緒!?」
ゾワリと鳥肌が立ったキャンディスだった。
「ならボクも!提督!!ボクも同行してよろしいですか!」
少佐の魔の手から妹を守らんとハワード中尉が立ち上がる。
「中尉も行くの?あんまり多くても…」
「お願いしますお願いしますお願いします!!!!!」
「うるっさい!!わかったわ!ギルバート・ロックウェル大佐、リチャード・モーガン少佐、ハワード・フォンテーン中尉。以上三名をクレマン海賊団の見張り役に任命する!行ってらっしゃい!死ぬんじゃないわよ!?」
「はっ!!」
こうして、新たな旅が始まる。